【連載】ビジュアルノベルの書き方 #02 ― 企画とコンセプトの作り方

こんにちは、DangoProject の Dango です。前回(#01)は「なぜビジュアルノベルを作り始めたのか」を書きました。今回は最初のステップ、企画とコンセプトの話です。

ただ、教科書みたいに手順を並べるより、自分が『魔法少女レベリオン』のコンセプトを実際にどう作ったかをそのまま話した方が伝わると思います。だから今回は、僕のやり方を追う形で書いていきます。

自分は「企画書」からは始めない

正直に言うと、自分は最初から整った企画書を作ろうとすると、たいてい手が止まります。だから僕の場合、コンセプトは机の上で組み立てるというより、自分の中で勝手に立ち上がってきた"小さな核"から始まることがほとんどです。

その核は、絵の1枚かもしれないし、セリフのひとつ、世界観のかけらひとつかもしれない。自分がやっているのは、一番心が動いた"それ"を先に掴むこと。企画書は、そのあとで十分だと思っています。

自分の場合、その核は「1曲」だった

自分は普段、ボカロPとして曲を書いています。ただ僕の場合は、世界観を先に作ってから、そこに曲をのせていく——というやり方をしています。これはたぶん少数派で、一般的なボカロPの作り方ではないと思います。でも昔からこのやり方が自分にはしっくりきていて、ずっとこうしてきました(前回も触れたとおり)。

『魔法少女レベリオン』も、同じ流れでした。実は最初にできたのは、ゲームでも物語でもありません。楽曲「世界を救ってやるっていってんの!」のコンセプト——その世界観が、いちばん先に立ち上がったんです。

▶ オープニングテーマ「世界を救ってやるっていってんの! feat. 猫乃メメ」MV

(この曲のコンセプトが、すべての発端でした。よかったら聴いてみてください。)

肉付けするうちに「これ、ゲームにしたら面白いのでは」

その曲のコンセプトを膨らませて、世界や登場人物を考えているうちに——「このテーマ、ただ聴くだけじゃなくて、実際にプレイして体験できるゲームにしたら面白いんじゃないか」と思いました。

それが、『魔法少女レベリオン』という企画の発端です。つまり僕の順番は、"熱い核(1曲)" → 世界観の肉付け → 「これをゲームで体験させたい」。ちゃんとした企画は、そのあとから形になっていきました。

だから、あなたの"核"から広げていい

あなたの核は、曲じゃなくてもかまいません。「こういう世界を見せたい」でも、「このキャラを動かしたい」でも、「この一言を言わせたい」でも。自分の中で一番熱いひとつを先に掴んで、そこから世界 → 物語 →「どう体験させるか」へと肉付けしていく。少なくとも自分は、この順番にしてから企画が最後までブレなくなりました。

ちなみにこの"核"の部分——何を作りたいかは、絶対に自分の中から出すところです。この連載でAIに任せるのはプログラムだけ、と決めているのも、コンセプトが作品の"魂"だからです。

核を「世界」に広げる

核が決まったら、次は世界を組みます。舞台はどんな世界か。何が"当たり前"で、何が"禁忌"なのか。世界のルールを先に決めておくと、物語もキャラも、そのルールから自然に生えてきます。「主人公がこう動くのは、この世界がこうだから」——行動に必然が生まれるんです。

フック="引っかかり"を仕込む

世界を広げるときに、ひとつだけ"ズレ"や"違和感"を混ぜておくと、作品が一気に化けます。「よくある○○、でも△△」——この△△がフックです。

『魔法少女レベリオン』でいうと、「一見よくある魔法少女バトルもの。でも少しずつ違和感が仕込まれていて、"なぜ魔法少女なのか?"の先に世界の秘密がある」。手垢のついた題材を、あえて"信じられないくらい普通"に見せておいて、その裏に引っかかりを置いています。

フックは奇抜さではなく、"約束された展開"をひとつだけ裏切ると効きます。読者が「あれ?」と思った瞬間、その物語は"その人だけのもの"になります。

コンセプトを一文にする(ログライン)

最後に、ここまでを人に一言で説明できる一文にまとめます。これを「ログライン」と呼びます。型はこんな感じ:

「〔どんな主人公〕が〔どんな世界〕で〔何〕をする物語。ただし〔フック=ひとひねり〕。」

一文で言えないうちは、たいていまだ核が固まっていません。友達に一言で説明して「面白そう」と返ってくるか——これが最初のテストになります。

魔法少女レベリオンの体験版のゲーム画面
※画面は開発中のものです。

まとめ

僕の企画の順番は、核(1曲)→ 肉付け →「ゲームにしたら面白い」→ 世界観 → フック → 一文(ログライン)でした。

自分の場合、教科書どおりの順番をなぞるより、最初に熱くなった一点から広げていく方が、ずっと最後まで自分を引っぱってくれました。あなたの"熱い一点"がどこにあるかは人それぞれなので、この作り方が参考のひとつになれば嬉しいです。

次回(#03)は「キャラクターの作り方」。コンセプトから、どうやって"動くキャラ"を生み出すかを書きます。


あなたが今あたためている企画、最初に立ち上がった"核"は何でしたか? 絵でも、曲でも、一言でも。よかったらコメントで聞かせてください。


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DangoProject
ボカロP / ギタリスト / ノベルゲーム制作者(社会人兼業クリエイター)

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