ここが最初の壁
ギターを始めた人がほぼ必ず一度つまずくのが、今回扱うバレーコードです。
バレーコードとは、人差し指で複数の弦を一度に押さえる(セーハする)フォームのことです。Fコードが代表格で、「Fで挫折してギターをやめた」という話は本当によく聞きます。
ただ、ここを乗り越えると世界が一気に広がります。FとBmをマスターして5弦・6弦ルートの仕組みを理解すると、理論上すべてのコードが弾けるようになるからです。難しいのは最初だけです。順番に解説していきます。
バレーコードの基本構造
バレーコードには、フォームの「型」があります。
代表的なのが以下の2つです。
6弦ルート型:6弦(最も太い弦)にコードのルート音(基準の音)を置く。Fコードがこの型の基本形です。
5弦ルート型:5弦にルート音を置く。Bmコードがこの型の基本形です。
この2つの型を覚えると、人差し指をずらすだけで別のコードになります。たとえばFの型を2フレット分ずらせばGになる、という具合です。これがバレーコードの最大の強みで、仕組みが理解できれば全コードへの応用が見えてきます。
F コード(6弦ルート型)

- 1弦:1フレット(人差し指でセーハ)
- 2弦:1フレット(人差し指でセーハ)
- 3弦:2フレット(中指)
- 4弦:3フレット(小指)
- 5弦:3フレット(薬指)
- 6弦:1フレット(人差し指でセーハ)
押さえ方のコツ:人差し指で1フレット全弦をセーハしつつ、中指・薬指・小指で残りを押さえます。最初は人差し指だけで全弦をきれいに鳴らす練習から始めるのがおすすめです。人差し指の側面(親指側のやや硬い部分)を使って押さえると力が伝わりやすくなります。手首をボディ側に少し押し出すように構えると、人差し指が寝やすくなって全弦に圧がかかりやすいです。
Bm コード(5弦ルート型)

- 1弦:2フレット(人差し指でセーハ)
- 2弦:3フレット(中指)
- 3弦:4フレット(薬指)
- 4弦:4フレット(小指)
- 5弦:2フレット(人差し指でセーハ)
- 6弦:弾かない
押さえ方のコツ:Fと同じく人差し指でセーハしますが、6弦は弾きません。Fより押さえる場所が2フレット分ボディ寄りになるぶん、少し押さえやすく感じる人が多いです。Fが難しく感じる間はBmから練習するのもひとつの手です。
6弦・5弦ルートを理解すると全コードが弾ける
ここが今回の一番大事なポイントです。
バレーコードには「型を保ったまま横にずらす」という考え方があります。
6弦ルート型(Fの型)
| フレット | コード名 |
|---|---|
| 1フレット | F |
| 2フレット | F#(G♭) |
| 3フレット | G |
| 4フレット | G#(A♭) |
| 5フレット | A |
| 7フレット | B |
| 8フレット | C |
| 10フレット | D |
| 12フレット | E |
5弦ルート型(Bmの型)
| フレット | コード名 |
|---|---|
| 2フレット | Bm |
| 3フレット | Cm |
| 5フレット | Dm |
| 7フレット | Em |
| 8フレット | Fm |
| 9フレット | F#m |
| 10フレット | Gm |
フォームを変えずに人差し指の位置だけ動かすことで、メジャー・マイナー問わずあらゆるコードが押さえられます。コード表を丸暗記しなくても、「6弦または5弦の何フレットにルートがあるか」を把握するだけでコードが導き出せるようになります。
省略コード(ミニF・省略Bm)
バレーコードが難しい間の現実的な選択肢として、省略コードがあります。
ミニFコード(省略F)

フルバレーのFから6弦・5弦を省き、4弦・3弦・2弦・1弦だけを鳴らす形です。弾き語りでは音の全体像がつかめれば十分なことも多いので、特にアコギで最初のFとして覚える人が多いです。
省略Bmコード

- 1弦:弾かない
- 2弦:3フレット(人差し指)
- 3弦:4フレット(中指)
- 4弦:4フレット(薬指)
- 5弦:弾かない
- 6弦:弾かない
セーハなしで押さえられるBmの省略形です。フォームはAmコードとまったく同じで、2フレット分ボディ寄りにずらした形になります。「Amは押さえられるのにBmが難しい」という人は、まずこの形から入るのがおすすめです。
Bm7(省略コード)

- 1弦:弾かない
- 2弦:7フレット(小指)
- 3弦:7フレット(薬指)
- 4弦:7フレット(中指)
- 5弦:弾かない
- 6弦:7フレット(人差し指)
セーハ不要で押さえやすく、Bmが出てくる場面でBm7に置き換えても曲の雰囲気を大きく崩しません。m7はコードに柔らかい響きが加わるので、弾き語りでも自然に馴染みます。バレーコードが安定するまでの実用的な選択肢として覚えておいてください。
バレーコードが鳴らないときのチェックリスト
① 人差し指が弦の真上に乗っていない
指の腹の柔らかい部分に弦が当たっていると音がミュートされます。指をやや回転させて、硬い側面で押さえてみてください。
② 親指の位置が高すぎる
ネックの裏側の親指が上に出すぎていると手首が固まります。親指をネックの中央あたりに置いて、手首をボディ側に押し出すように調整してみてください。
③ セーハする位置がフレットから遠い
他のコードと同様、フレット(金属)のすぐ後ろを押さえるほど音がクリアに出ます。
④ 握力より体の使い方
バレーコードは握力で押さえるより、手首・腕・体全体の重さを使う感覚が大事です。力任せに押さえようとするほど疲れやすく、腱鞘炎のリスクも上がります。
まとめ
- バレーコードは人差し指でセーハするフォーム
- 6弦ルート型(Fの型) と 5弦ルート型(Bmの型) の2つを覚える
- 型を保ったまま横にずらすだけで、すべてのコードが弾ける
- 最初は省略コードから始めるのも現実的な選択肢
次回は、コードチェンジの練習方法を解説します。コードが押さえられても、切り替えがスムーズにできないと曲が弾けません。効果的な練習の進め方を紹介します。
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ボカロP / ギタリスト / ノベルゲーム制作者(社会人兼業クリエイター)
